松枯れ白書

高砂緑地問題研究会 松本文雄 著

著者の20数年来の研究の集大成。大気汚染による松枯れを実証し、無益な農薬空中散布で千数百億円もの税金を無駄遣いしている現実と、21世紀の地球環境保護の行動指針を訴えかける。

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初版1998年4月1日 ISBN4-944098-21-9 C0045
A5判/256ページ ●定価 1,944円(税込)

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第1篇松枯れ主因は大気汚染:高砂市内を事例として考察する
 第1章 松枯れのメカニズム
 第2章 松枯れ主因は大気汚染公害
 第3章 松枯れ・農薬空中散布問題の行政の対応
 第4章 青松の復活提言および実践活動
 第5章 若干の考察

第2篇松枯れは日本人への警鐘:持続社会の構築に向けて
 第1章 最近のTV報道
 第2章 百害無益な農薬空散
 第3章 最近の松枯れ調査結果
 第4章 松枯れのしくみ
 第5章 青松復活への13の提言

松本文雄 まつもとふみお
1939年生まれ。大坂府立大学農学系大学院卒。大阪市立大文学部、神戸大学農学部の研究員を経て、高校教諭。日本農業経済学会、日本地域学会、日本環境学会会員。1973年から高砂緑地問題研究会世話人。

"虫因説"の誤りを指摘(日本農業新聞/1998年3月16日掲載)
日本全土に広がっている松枯れの原因について、虫因説と大気汚染公害説が対立している。同書は、大気汚染公害説を主張する著者が、24年間の現場調査や研究結果、著述などを集大成。一貫して林野庁のマツノザイセンチュウによる虫因説の誤りを指摘している。地道な実態調査の積み重ねに裏付けられた指摘は、とかく「感情的」と見られがちな大気汚染公害説に説得力を与えている。そして、林野庁が「松くい虫」(マツノザイセンチュウの総称)による虫因説に固執するのは、農薬散布のため「愚挙」と断罪。国家の犯罪性に結びつけている。「白書」の題名は「本来、政府が行うべき報告の代役の意味」を込めた。

主因は大気汚染(兵庫新聞/1998年3月18日掲載)
20数年間にわたり、松を観察しつづけ、松枯れの原因を追究している高砂市の高砂緑地問題研究会世話人の松本文雄さん(58)がこれまでの研究成果をまとめ、松枯れの主因は大気汚染とする『松枯れ白書』を出版した。松本さんは、自宅庭にあった樹齢100年余りの松を守ろうと、昭和40年代から松枯れ問題に取り組み始めた。白書は、市内の枯れ松の地域分布やマツクイムシの検出結果、年輪調査の結果を掲載。また、国会の経過や行政の対応、テレビ報道や各種論文をもとに、松枯れのメカニズムを論じ、「松枯れの最大の原因は大気汚染であり、マツクイムシは弱った松にとどめを刺すにすぎない」と結論づけている。
松本さんは「虫因説」による農業の空中散布は、大気汚染を隠ぺいした生態系を破壊する行為だとして、農薬空中散布に反対。農薬という対処療法にたよらず、総合的な大気汚染対策により空気を浄化することで、青松を復活させたいとしている。

松枯れ白書を出版。高砂の松本さん(神戸新聞/1998年3月17日掲載)
25年間の研究集約「大気汚染」前面に
松枯れの原因は大気汚染であると訴え続けてきた、市民グループ「高砂緑地問題研究会」世話人で高校教諭の松本文雄さん(58)がこのほど、約25年間の活動や研究の成果をまとめた『松枯れ白書』を出版した。松本さんは「松枯れ問題の真実を、松の名所である高砂から全国に発信したい」と話しており、3月22日には同問題の今後を考えるシンポジウムを開く。松本さんは、1973年からこの問題に取り組んでおり、昨年12月に高砂市に対し、松の保護などを訴える「環境提言」を提出している。『白書』では、松枯れの原因は、いわゆる松くい虫の「マツノマダラカミキリ」や「マツノザイセンチュウ」によるものではなく、これらの虫は、大気汚染により弱った松にとどめを刺すにすぎないことを、例を示しながら指摘。また農薬の空中散布に無駄な金を費やした行政を批判。このほか公害による松枯れ状況や、農薬の空中散布による人や動物への被害といった情報の公開などを求める13の提言で結んでいる。

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